高齢者のてんかん

みなさんは「てんかん」というとどういう症状を思い浮かべるでしょうか。

子供の頃にかかって、全身痙攣する、そんな漠然とした印象でしょうか。

そもそもてんかんはなぜおこるのでしょう。私たちの脳を作る神経細胞は実は非常に弱い電気の働きで動いています。この電気の働きが乱れて、普通ではあり得ないような神経細胞の働き方が起きてしまう、そして場合によっては脳全体の働きが異常になってしまって痙攣する、てんかんとはそういう病気です。簡単に言うとてんかんとは脳の不整脈みたいなものです。

さて、そのてんかんですが、もちろん小児期に発症して、「痙攣」するてんかんの患者さんが多いのは事実ですが、最近では高齢者の方のてんかんが多くなってきています。ではなぜ高齢者にてんかんが増えているのでしょうか。確実なことは言えませんが、一つは脳が老化して、神経細胞の電気の働きがみだれやすくなること、また、高齢者では脳卒中を経験された方も多いので、その結果脳の一部の働きが悪くなる、そんな事が原因と考えられています。特に、認知症を介して生じるアルツハイマー病やレビー小体病では脳の働きが異常になりますので、てんかんを併発しやすくなります。

文責 岩田 淳