神経内科と精神科(心療内科)

神経内科という名前はよく精神科や神経科、あるいは心療内科と混同されがちです。英語だと精神科や神経科はpsychiatry、神経内科はneurologyと呼ばれ、全く異なった診療科である事が一目瞭然なのですが・・・
どれも脳や神経系の病気を扱う科なのですが、いわゆる「こころ」の問題としての脳の病気が精神科や神経科で、「身体(からだ)」としての脳の病気が神経内科です。
心と身体という違いですね。このことから、神経内科と精神科や神経科では、扱う病気が違ってきます。
「統合失調症」や「うつ」は精神科の医師の専門ですが、神経内科の診療範囲からはちょっと外れています。
神経内科とは脳の「内科的な病気」と言うわけです。
これを詳しくご説明するのにとてもいい例があります
よく「自律神経失調症」という病名をお聞きになったことはあるでしょうか。
神経内科の医師にとって「自律神経失調」と言うのは死んでしまうかもしれないとても重症な病気ということになります。
それは、神経内科医にとっては自律神経と言うのは心臓をはじめとした内臓や発汗の働き、排尿排便、そして血圧といった「意識しないでも働く体の動き」を調節している神経のことです。
ですからその神経が働かなくなったら、体温調節ができなくなったり、心臓がとまったりして死んでしまいかねません。
よく世間で言われている「自律神経失調症」というのは往々にして精神的な症状をこころの問題ではなく、身体の問題だとオブラートに包むときに使うことが多いようです。

ですから、「こころ」の問題としての脳の病気は、メディカルクリニック柿の木坂の守備範囲ではありません。もちろん心の問題かもしれないけれども脳に何かないかどうかまず調べてほしいというのは大歓迎です。
脳に身体的な問題がなければ、精神科や神経科の先生の方にご紹介して、心の治療に専念してもらえると思うからです。

岩田 誠