片頭痛は元来女性に多い病気で、女性の片頭痛患者数は、男性の3倍もあります。
これには、女性ホルモンの影響が大きいことがわかっています。
女性の片頭痛発作の場合には、しばしば月経と発作頻度との間に大きな関連性が見られます。
片頭痛発作は、一般的に月経前日から月経3日目までの4日間に最も頻発します。
患者さんによっては、月経のこの期間だけに限って発作を生じる方がおられ、月経時片頭痛と呼ばれています。
また、月経期間に発作が増えることは確かだが、月経時以外にも発作を生じるという方も多数おられますが、このような方は、月経関連片頭痛と呼ばれています。
このような、月経との関係は、自然月経においても、ピル服用などによる誘発性の月経においても、その傾向は同じです。
月経時には、体内における女性ホルモンのバランスが大きく変化しますが、この変化が片頭痛発作を生じやすくすると考えられています。
月経期の片頭痛発作では、一般にトリプタン製剤が効きにくく、なかなか頭痛を抑えきれずに苦しまれることが少なくありません。
そんな時には、予防薬を併用したり、通常の鎮痛薬との併用を行ったりします。
また、月経時片頭痛の方では、基礎体温を記録していただき、予測月経日の数日前から1週間ほどの間毎日、予防薬や鎮痛薬を予防的に服用していただいていますと、いざ発作が生じた時に使用するトリプタン製剤の効きめが良くなります。
これに対し、トリプタン製剤を予防的に服用することは、原則としておやめになって下さい。
トリプタンを予防的に使う方法もありますが、それは必ず頭痛専門医のしっかりした指導の下、よくご相談の上で注意深く使用してください。
女性の片頭痛は、更年期を過ぎるとだんだん発作が少なくなり、頭痛の程度も弱くなる方が多いのですが、逆に発作が多くなり、頭痛も強くなる方もあります。
そのような方では、時にホルモン補充療法が効果を示すことがあります。
ただホルモン補充療法を行ってよいかどうかについては、素人判断はなさらず、担当の先生とよくご相談の上でお決めください。
岩田 誠