頭痛の種類

頭痛には実に沢山の種類があります。
原因を数え上げれば、おそらく何百とあるはずです。
しかし、実用的には次の3種類に分類することが出来ます。
その第1は、ほうっておいてよい怖くない頭痛で、二日酔いや高地登山などで起きるものです。
かき氷やアイスクリームを食べるときに生じる頭痛もこの中に入ります。
このグループの頭痛は、診療の対象にはなりません。
原因を避けてもらえばそれで解決です。
第2のグループは、ほうっておけない怖い頭痛、あるいは簡単に怖い頭痛と言えるもので、くも膜下出血、脳腫瘍、脳炎・髄膜炎、頭蓋内血腫など、うっかりすると生命に危険の及ぶようなものです。
これらの病気においては、頭痛という症状は、怖い病気を診断するための入り口の役割を果たすだけで、頭痛そのものは治療の主たる対象ではありません。
治療の主力は、頭痛の原因となった本来の病気に向けられなくてはならないからです。
このグループの頭痛では、原因となった病気の診断のために、画像診断や脳脊髄液の検査といった様々な検査が必要です。
第3のグループは、怖くないけれどほうっておけない頭痛、あるいは単にほうっておけない頭痛と呼ばれるグループで、緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛、発作性半側頭痛、そして薬物乱用頭痛などが含まれます。
これらの頭痛においては、頭痛を軽減・消失させることが治療の目的となります。
このグループの頭痛の診断は、注意深い問診と診察によってはじめて可能となります。
検査をすることもありますが、それは第2のグループの頭痛ではないことを確認するためのものであり、通常の画像検査や、血液、脳脊髄液、あるいは脳波などの様々な検査のどれをとってみても、このグループの頭痛では異常は得られないのが普通です。
その診断と治療には、頭痛診療に十分な経験を持つ頭痛専門医が必要です。
ひとつご注意いただきたいことは、一人の人間に一つの頭痛という原則はないということです。
時々発作をおこす片頭痛の患者さんが、アイスクリーム頭痛を生じることは珍しくありませんし、脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を生じる可能性だってあります。
すでに頭痛の原因診断名がついている方であっても、いつもの頭痛とは違う頭痛が始まったら要注意です。

岩田 誠